Chapter_06
設備・内装関係のお仕事
- 01
配管・水道工事
巨大な船内に、無数に張り巡らされている配管があります。それは人間に例えるなら「血管」です。排水ポンプをはじめ、船内の快適な環境を保つために欠かせないものばかりです。迷路のように複雑に設計された配管を、船に取り付ける大掛かりな工事です。
- 02
ドック
船舶の建造や修理のため、巨大な設備(ドック・船台)内での仕事です。ここで溶接した大きな鉄の塊をつなぎ合わせることで、巨大な船のかたちができます。配管工事や電気工事、その他修理も行います。初めて船を水に浮かす「進水式」を行う設備で、船主をはじめたくさんの人々の感動を演出し、届けます。工場内に掘削してつくられた大きなスイミングプールのようなもので、「人間ドック」と言われるように、ここを拠点に修理や点検を行う「船舶の病院」ともいえます。
- 03
防熱
様々な材質、形状をした防熱材や、エアコンなどの空調機器の部品を製造、取り付ける仕事です。防熱材は手際よく切り分け、天井や壁、配管などに隙間なくパズルのように貼りつけていきます。指先が器用で、1人で黙々と作業するのが好きな人にピッタリ。
- 04
営繕・修理
工場の設備や道具が正常に使えているかどうかの点検やメンテナンス、修理とともに、廃材やゴミの清掃を行います。また、建造した船内をピカピカに清掃して、お客様に引き渡す仕上げの仕事です。裏方の仕事ですが、それは旅館では「おもてなし」と同様の役割として知られ、工場の安全対策や船舶の衛生管理に欠かせないポジションです。
- 05
大工・家具
船舶には船長をはじめ乗員の人達の居住空間があります。寝室やキッチンなどに必要な家具をオーダーメイドでつくるとともに、住む人が安らぐ家を建てる大工のように、船内の繊細な大工工事なども行います。「船のインテリア職人」です。
- 06
架設・足場
船舶を建設する際の塗装工事や機械、電気などを使うために準備する仕事です。作業従事者の足場を組み立てる工事、機器・電気などを使うための動力機器の設置や電気工事などを担います。高所での作業のため、しっかり足場を作り、作業従事者の命と安全を守ります。作業しやすい職場を提供する安全第一の土台づくり、縁の下の力持ちです。
PICK UP
縫製
造船にはこんな仕事も! 針と糸で「船を縫う」
有限会社三幸冷熱金光里恵さん有限会社三幸冷熱
金光里恵さん船のダクトに断熱材をサイズ通りに切って縫う仕事です。造船にはこんな仕事も! 針と糸で「船を縫う」
船なのに縫製の仕事がある、と聞くと、帆船の帆を縫うのかなとか想像しちゃいますよね。しかしここ佐伯市の会社・三幸冷熱が手がけているのは船の空調設備。大型商業施設と同じく、船も空調は一元集中管理で、ダクトを通して冷房も暖房も送られてきます。そのダクトに取り付ける断熱材をサイズ通りに切り出して縫う仕事です。「元々アクセサリー作りが好きで。子どもが手を離れるタイミングで『造船関係で縫う仕事があるよ』と紹介されたんです。なんだか面白そうだなって」と話しながらサッサっと断熱材を縫っていく金光さん。この仕事を説明するときに「ひたすら大きいものを縫う仕事です、と説明します」と笑顔です。
防熱
防熱剤を貼る仕事は 「パズルみたいなんです」
株式会社日本冷熱松本光子さん株式会社日本冷熱
松本光子さん巨大な船内に、無数に張り巡らされている配管。そこにシート状の防熱材を手際よく切り分け、1ミリも隙間を空けずにピッタリと貼っていく。防熱剤を貼る仕事は 「パズルみたいなんです」
「パズルをつくるみたいなんです」と笑顔で話すのは、西海市に一家で移住した武藤さん。「どうやったら早く、正確に貼れるか。頭の中で考えながら、好きなように切り貼りするのが楽しくて」その横で「うん、うん」と頷く松本さん。造船業界で溶接の仕事をしていた義母に憧れ、この世界に飛び込みました。ある日、ふと目にした「男女活躍中」と書かれた求人広告。「女性でも働けるの!」と飛びつくように入社を決めました。武藤さんが「仕事がめちゃくちゃ早いんですよ」と言うと、照れ笑いを浮かべる松本さん。早く仕上げるコツを聞くと、「心の中でいつも歌を歌っています」と驚きの答えが。リズムに乗って、素早く。それが、松本さんが編み出したスタイルです。 そんな2人は、育児や料理の相談をし合うママ友でもあります。授業参観など、子供の行事を優先してくれる会社の理解もあり、家族と過ごす時間も楽しんでいます。